沈没

【沈没】…長期旅行者が宿に引き籠る状態を言う。理由としては、居心地が良すぎる、移動が億劫になる、お金が尽きて動けなくなる、などが挙げられる。期間は1週間〜2か月と人により異なる。

「俺、インドで二ヶ月沈没したわー」など、若い旅行者からよく聞きます。

へぇぇ、そんなことあるんやねー、もったいないなぁ、うちらは二人いるからないねぇと話していたのですが。

私たちはこの旅始まって以来初めて、この「沈没」をモロッコにて経験しました。

ロンドンからモロッコにやって来ました。

客引きもおらず、値下げ交渉する必要もなく、旅行者に寛容というか、無関心なヨーロッパ。それに対して辿り着いたのは、「インド、エジプトに並んで三大うざい国」と称される国、モロッコ。中でも騒がしい商人の町マラケシュ

着いて早々、やはり客引きが「ジャパニーズ?ナカタ、ナカムラ、タカハラ、サムライ!」と近寄ってくるのがとてもうるさくて。
IMG_9765

どこでも割と簡単に馴染んでしまうタイプなのですが、パタリと、静かに、心を閉じてしまいました。

パタリと。

それから不毛の一週間。

一日目、長時間移動の疲れで寝続ける。

二日目、朝目覚めたら昼過ぎで、動けず。ご飯は近くの屋台でチキンタジン鍋を食べる。
IMG_9739

三日目、またもや昼過ぎ起床。タジン鍋でお腹を満たし、帰りに「スーク」と呼ばれる迷路のような商店街へ向かう。が、入口近くが強烈な臭いで断念。なんの臭いだったのだろう。生臭くて、腐卵臭のような。宿に退散。
IMG_0085

四日目、インターネットと映画とタジン鍋
IMG_0084

五日目、インターネットと読書とクスクス。
IMG_9760
クスクスがいまいち美味しくなくて、明日はタジン鍋にしようと固く決意。それ以外記憶があまりない。

六日目、近くのエッサウィラという港町に日帰りで足を伸ばそうと、がんばって起きて朝一にバス停に行ったが、バスチケットが売り切れており乗れず。宿に退散。今日もタジン鍋タジン鍋は裏切りません。
IMG_0080


せっかく動けたから、二度目のスークに挑戦。
IMG_9846
今日はこの前みたいに臭くないぞ。

IMG_9834

IMG_9828

IMG_9907

そうだ、モロッコ雑貨ってかわいいんだった。
IMG_9849

IMG_9835

IMG_9928

IMG_9970

ミントティーも結構おいしいじゃん!
IMG_9768

スークを抜けたら住宅街でした。
IMG_9920

IMG_9962

元気が出て来たので、明日はもう荷物をまとめてマラケシュを出ようと早めに就寝。

七日目、朝、6時半起床。移動日だ!
私:「おはよう!急いでチェックアウトの準備しよう!」

マコト:「おはよう。ねぇねぇ、なんか言うことない?」

私:「え?」

私(心の声):【低血圧で、頭が全く働いていない私に、朝っぱらからこ奴は、何を言えというのか!?】

一応考えるフリ。

ぼー。

しばしの沈黙。


あぁぁぁ!

「た、誕生日おめでとう!!!」


11月25日、マコトさん31歳の誕生日。

ごめん!ほんっとうに忘れていた!(完全に目覚める)

11月19日のチホの誕生日も、23日のマイコの誕生日も覚えていて、おめでとうメールを友達には送っていたのに、

横にいる、愛すべき、旦那様の誕生日がすっかり抜け落ちていた!!!

ごめん!もちろん何も準備していないし、今日は8時間のバス移動やし、何もできまっしぇーん!

「ハッピーバースデーの歌うたう?」

・・・無言・・・

結婚まだ2年目。正確には1年と8カ月。

我ながらひどい妻である。

マコトさん、次の日まで、すねてたよね〜。

そんなに怒らないで〜♪
IMG_9861

Now Playing:久石穣「人生のメリーゴーランド」