リダの家

イランを抜け、アルメニアに来ました。

どの国にも、だいたい１つか２つ、旅人に人気の宿があります。

首都エレバンにある、ここ、『リダの家』も日本人旅行者が集まる宿です。

過去何年間もの情報ノート(旅人が書き残していく情報、美味しいレストランとか、安い移動方法、おすすめ観光地など)があり、大部屋で一泊一人250円、駅に近く、市場も近い。

お風呂はないので近くのシャワー屋さんに行かなければいけなかったり、ネットも繋がっていないという不便さもあるのですが、家族経営のこの宿はとても居心地が良い。

リダおばあちゃん一家の生活の中に、さすらいの旅行者が日々出たり入ったりしています。

これが、この家族の日常です。

だからリダおばあちゃんも、ママも子供も誰が来ようと出て行こうと、大歓迎でもなく、涙を流してお別れでもなく、普通なのです。

キッチンでママが料理をしている。空いたコンロを借りて自炊する。

子供たちがいたずらをしてママに怒られ泣いている。その側で旅行者がワインを飲んでいる。

パパのトイレの後に、私も同じトイレを使わせてもらう。

洗濯もシーツからパンツから旅行者のも家族のも一緒くたに天日干し。外出中に雨が降ってきたら、代わりに誰かが取り込んでおいてくれる。

ルールもあるようで、実際ない。

優しさとマナーで成り立っている。

干渉しすぎない。けどあたたかく。

プライベートもほぼない。けど、群れすぎることもない。

それぞれのペースで出て行って、夜遅くなる前には、みんな

「ただいまー」

と、帰って来るのです。

Now Playing：toe「孤独の発明」